つらい管理職の仕事を楽しくする
- マネジャー管理職の仕事がうまくいかない
- つらくて「貧乏くじをひいた」と思ってしまう
- これからのキャリアに悩んでいる
- 候補だと言われているが不安だ
そんな方たちへ、
マネジャー管理職はつらいけれど
よろこびも大きいし、自分で楽しくできる
ということをお伝えします。
管理職になりたい人は21.4%
アジア太平洋地域で最下位
これは、パーソル総合研究所が行った、アジア太平洋地域(APAC)で働く20~60代の男女1,000人への調査結果です。ちなみに、上位のインドやベトナムは80%台です。
「管理職志向・出世意欲が低い日本」
現在、非管理職である人に聞いたところ、日本は管理職になりたい人の割合が21.4%で、14の国・地域で最も低かった。逆に言えば、日本では積極的な管理職志向がない人は78.6%にものぼる。日本は出世意欲も最も低い。
大変そうだし、
魅力を感じないからでしょうか。
実際、大変なことは多いです。
ただその分、よろこびも大きい。
そして、大変さは軽減できます。
権限や予算など、軽減策を実行するために必要な資源を持っているのが管理職。組織によって大小あれど、少なくとも、管理職でない人よりは機会があるはず。
それを活かせば、成果を出しやすくなり、評価やよろこびにつながります。
以下は、私が管理職として味わったよろこびと苦しみを通じて気づいた、マネジャー管理職の仕事が楽しくなる3つの考え方です。
1.できることが多いことを知る
マネジャー管理職は、
やるべきことがたくさんありますが、
同時に、できることもたくさんあります。
組織によるかと思いますが、マネジャー管理職は、決定・配置・指示できる「権限」と実行できる「予算」そして提案・立案する「機会」、つまり
①人 ②お金 ③機会
という3つの資源を持っているのです。
忙しさやプレッシャーに囲まれると忘れがちですが、
何かをするために必要な
3つの資源を持っている
ということに改めて目を向けましょう。
①人
自分一人でやるのは難しいことでも、
他者の力を借りてやれば
より大きなことが実現できます。
大きなことを実現すれば、よろこぶ人も多い。
一人ではできないことを効果的に実現できるのが、組織のいいところ。
人を動かす権限を持っているのが管理職です。
「指示する」という表現に抵抗があれば、
「協力を依頼する」と言い換えてもいい。
事実として、指示する権限があります。
これは、マネジャー管理が成果を達成する責任があるから持っているものです。
遠慮することはありません。
責任を果たすためなのですから。
また、部下から
よいアイディア・提案が出るようにする
というのも、人という資源の有効な活用です。
自分一人で考えることには限界がありますから。
人という資源をうまく活用することは、管理職の負担を小さく、よろこびを大きくする最も重要なポイントです。
②お金
マネジャー管理職が持つ第2の資源は
「お金」。
何をするにしてもお金は必要です。
金額や予算の枠によりますが、いちいち上席におうかがいをたてなくていいのは、
行動へのハードルが低い
ということです。
また、たいていの管理職は、予算を考えるのも役割だと思います。
予算とは「計画を立てる」ということ。
何をするか、重要性を考えてどう配分するか
考え、決めることができるのです。
「いやいや、私には予算がない」
「何かをするには少なすぎる」
という管理職の方。
次にあげる3つ目の資源を活用すれば、獲得することも可能です。
③機会
マネジャー管理職が持つ第3の資源は
「機会」。
意思決定のための重要な会議への出席など、
意見や提案ができる機会がある
というのは、大きな資源です。
たとえつまらない会議だったとしても、
機会ととらえて、価値あるものにする
このマインドを持てば、活用が可能です。
また会議の場以外でも、管理職にまでなったのですから、話を聞いてくれる相応の信頼があるはず。意見や提案に耳を傾けてくれやすいでしょう。
管理職でなくても機会は作れますが、管理職の方が、より多くの機会があり、やりやすいと言えます。
これらを利用しない手はないですよね。
かつての不満を改善し全体に貢献
このように、マネジャー管理職は
①人 ②お金 ③機会
という資源を活用して、
・かつてやりたかったこと
・いま不満に感じていること
・できたらいいな、と思えること
が実現できる可能性が高いのです。
もちろん自分の欲求を満たすだけではいけませんが、会社や従業員の利益と一致すれば、多くの人の役に立つことになります。
ちなみに私は、管理部長になって、
いくつもの「かつての不満」を改善しました。
・評価制度の構築、運用
・働きやすい勤務体系の導入
・残業計算を改善し、手当を正しく支払
・経費申請、精算の簡素化
・営業の時に負担だった集計業務を代行
働きやすい環境を作り、会社をよくするこれらの仕事は、管理部長の
「出すべき成果」「果たすべき役割」です。
やりたいことと、成果役割を一致させて、会社や多くの人に感謝される。
そのよろこびは大きく、
管理職だからこそ味わえるものです。
違う風景が見えてきます。
これを味わえる機会、実現する可能性を持っているのが、管理職の魅力です。
2.単なる役割であると認識する
つらい管理職の仕事を前向きにとらえる2つめの考え方。
管理職は「役割」です。
その役割とは
出すべき成果・役割を果たすためにチーム/部署を運営し、機能させる
これを果たすことだけ考えればいい。
人格を変える必要はありません。
また、偉くなる訳でもありません。
管理職になって苦しんでいる人を見ると
「管理職らしくしなきゃ」
「部下を育てなきゃ」
などと、過剰に背負い込んでいることが多いですが、そんな必要はありません。
単なる役割です。
「役割を果たすために必要なことをやる」
「使えるもの(3つの資源)を使う」
それでいいのです。
マネジャー管理が抱える最も多い悩みは
「部下の教育」「部下の扱い方」
かと思います。
人を育てるのは大変だし、これをやれば必ず成果が出る、というものではありません。個人の資質・能力にもよりますし、採用や人事制度上の問題もあります。
なので、入れ込み過ぎないことです。
役割を果たすために必要なことに集中するのです。
部下にも、役割を果たすために必要な行動を求めるのです。
過剰に背負い込むよりも、結果としてうまくいきます。
その事例をご紹介します。
– 役割と成果に目覚めた事例
ある課長のお話です。
「部下を育てなきゃ」
「部下をうまく使わなきゃ」
「部長のようにやらなきゃ」
と強く思っていました。
本人の性格や能力とマッチせず、うまくできずに苦悩していました。
接していた部下との関係は悪化する一方。
そこに時間と労力をかけ過ぎ、担当業務がおろそかになって計画が進まず、成果が出ない。
残業も過多になり、精神的にも参ってしまいました。
助言を受けても改善のきざしは見えず。
部署の運営に支障が出てきたため、課長からいったん外れることになりました。
最初はショックだったものの、やがて
「楽になった」
と思うようになり、
自分の担当業務で成果を出すことに集中しはじめました。
成果を出すために必要なことは何かを考え、それを手に入れる行動に注力。
特に、一人でやるのが困難なことがあると、必要な協力をまわりに求め、チームで成果に向けて取り組むようになりました。
やがてめざましい成果を出し、
「今度は課長を任せても大丈夫」
と思われるようになったのです。
このように、過剰に役職にとらわれずに(特に部下の育成)、成果を出すことに集中すれば、結果として、管理職としてうまくやれるようになります。
3.影響力を味わう
管理職の仕事を楽しくする3つ目の考え方は
「管理職が持つ影響力を味わう」ことです。
いっけん前の話とは逆のように思えますが、そうではありません。
- 部下が行動をしやすい環境を整えれば、部下が成果を出す可能性が高くなる
- 部下が成果を出せば、部署の業績が上がる
- 部下は評価が上がり、もっと成果を出したいと思うようになる
- より成果を出せば、部署の業績がさらに上がる
この好循環を回すために、最初のスイッチ
「部下が行動しやすい環境を整えること」
に注力すると、部署の業績・部下の評価の向上につながります。
結果、自分の評価もよくなる。
マネジャー管理がもつ影響力は、部署内に対してだけではありません。
他部署にとる行動も、大きな影響力を持っています。
他部署に協力して、他部署の業績がよくなれば、全体の業績につながります。
また、もし借りをつくることができれば、どこかで返してくれます。人は、そういうものです(「好意の返報性」ですね)。
他部署との関係構築や交渉などは、部署を運営する管理職の姿勢と行動しだい。
それが他部署や会社全体にも影響を与え、結果、自分の部署と自分自身の成果につながります。
– 評判が悪い人も感謝されるようになる
これは、私が管理職の影響力を味わった経験談です。
私が部長をしていた管理部門は、他部署の活動をサポートするのが役割です。特に、営業部門が仕事をしやすくすることは、会社の業績に直結します。
なので、営業の支援を優先して取り組みました。
資源の活用の話でも触れた
・経費申請、精算の簡素化
・営業の時に負担だった集計業務を代行
をはじめとして、
・細かい事務
・確認や連絡
・必要な情報をいつでも見れるよう整備
など、
「営業部門が欲しい協力をする」
「営業に役立つことをする」
という行動を部下に課し、また手本を見せ続けました。
その結果、業績の向上に貢献することができ、
「助けられた」「いてくれないと困る」
という言葉をいただくようになりました。
営業部門と関係の悪い人もいましたが、そんな彼ら彼女らでさえ感謝されるようになりました。
感情的なしこりは残っていましたし、いつも実践できたわけではありません。でも
「感謝している」「助かっている」
という言葉を少しでももらえるようになったのは、役に立つことをし続けたからです。
このように、管理職がとる行動は、様々な影響をおよぼし、人をよろこばせることにつながるのです。
誰しも影響力を発揮することはできますが、より発揮しやすい位置にいるのが管理職。
それを味わおうとすることが、大変な管理職の仕事を楽しくする姿勢だな、と実感しました。
マネジャー管理職とは
以上、これまで
「つらい」「なりたくない」
と思われがちな管理職の仕事が楽しく思え、前向きになれる3つの考え方をお伝えしてきました。
いかがでしょう。
少しは前向きになれたでしょうか?
これからマネジャー管理職になる方、
少しは楽しみに思えてきたでしょうか・・・
なお、本記事の各所でマネジャー管理職の役割と機能について触れていますが、一言でいうと
人を使って、チーム/部署の成果を出す
ということです。
その役割を、より効果的に発揮するために必要なことは、
5つの機能
に集約することができます。
▼こちらにまとめていますので、参考にしてみてください。