平静でいられない時のための、10秒でメンタルをマネジメントする方法
- すぐイライラする
- 感情的・衝動的になってしまう
- 我を忘れがち
- 冷静になりたい
- 集中したい
そんなときのための、10秒で心を落ち着かせるメンタルマネジメント方法をご紹介します。
たったの10秒なので、ハードルが低く、手軽に日常に取り入れることができます。
また習慣化しやすく、習慣化するほど効果を発揮します。
過去に私がマインドフルネス瞑想を習慣化しようとした際、なかなかハードルが高くてうまくいかなくて、まずは手軽に取り組める方法はないかな、と試している中で出会った方法です。
メンタルマネジメントとは
メンタルマネジメントとは、
心の平静を保ち、感情に左右されずに意思決定や言動をすることです。
仕事をしている以上、ストレスがかかるのは避けられません。思う通りにいかなかったり、誰かの言動に対してイラついてしまう、アクシデントが発生して混乱し動転する、といったことはあるでしょう。
そんな状態に対して起こる自分の反応・心の状態を把握して、感情的/衝動的ではなく、的確な判断と行動をとれるようにコントロールするのが、メンタルマネジメントです。
メンタルマネジメントができるようになると、このような効果があります。
- 仕事の質の向上
感情にとらわれず、今すべきことに集中することで、仕事の質が向上します。
意識を目の前のことに集中することで、ミスを防止できます。 - 冷静な判断で最善の選択
何を優先すべきか、誰に何を言えばいいか、などを冷静に判断することで、目的を果たすために、物事をうまく進めるために、最善の行動をとることができるようになります。
特に困難な状況に陥ったときや、心折れそうなときなどは、冷静になって、まず何から手をつければ状況を打開することができるか判断することがモノをいいます。 - 良好な人間関係
感情的/衝動的でない言動は、人との信頼関係、協調関係をつくりやすくなります。感情による浮き沈みのない人は、接しやすく思われます。そういう人には、情報や協力が集まり、物事がうまく進みやすくなります。
感情的/衝動的な態度によって、直接顔を合わせないやりとりが増えている現在、感情に任せた反応的なテキストメッセージなどで関係がこじれる危険があります。 - 心身の健康
心身を健康に保つことで、安定的なパフォーマンスを発揮することができます。
たいていの物事は、継続しないと成果が見えて来ません。いっときのがんばりだけでなく、継続を支える心身の健康が必要です。
また、心身が不安定な人には、安心して任せられず、頼るのもはばかれてしまいます。心身を健康に保つことは、活躍の機会を手に入れる前提条件といえます。
このように、メンタルをマネジメントすることは、高いパフォーマンスを発揮し、気分よく仕事を続けるためのベースとなるものです。
メンタルマネジメントに取り組んだきっかけ
私がメンタルマネジメントに取り組もうと思ったのは、管理職になって数カ月が経った頃でした。忙しさと課題の多さ、責任への重圧から
気分が不安定
寝つきが悪く、疲れが取れない
発言や決定したことへの後悔が多い
という状態が続いていました。そんな中、議論の進行役(ファシリテーション)をしていて、話し合いがスムーズに進まずにイライラしていたとき、ふと
精神状態をコントロールできたらな
と思ったのがきっかけです。
調べてみるとすぐに先程のメンタルマネジメントの概念に出会い、これができるようになるにはマインドフルネス瞑想がよいということを知りました。本を読んだりセミナーを受講して方法を学び、試してみました。
やってみると、気分が落ち着いていいものです。
でも、やったときはいいのですが、
日常の中に戻ると、落ち着いた状態がすぐに消えてしまう・・・。
継続することで、「マインドフル」な状態を保てるようになったり、いつでも戻れるようになるのでしょう。本やセミナーでもそう言っています。
でも、そのレベルに達するには、なかなか時間がかかりそうだし、ハードルが高そうです。日常の中で手軽に落ち着いた状態になれたらいいのに。
そんな方法はないものか。
そんなスイッチのようなものはないか。
そう考えていろいろ試した結果、これからご紹介する方法にたどり着きました。
10秒メンタルマネジメント法
私の「10秒メンタルマネジメント法」手順は
①肩に力を1秒入れる
②肩の力を抜き1秒で息を一気に吐く
③4秒息を吸う
④4秒息を吐く
これだけです。
①肩に力を1秒入れる
1秒、肩にぐっと力を入れます。
手のひらを握るとやりやすいです。
イライラしたり不安や緊張状態のときは、知らないうちに肩に力が入っています。
また「肩の力を抜いて」と言われても、抜き切れないもの。
逆に、いったん力を入れることで力を抜きやすくなります。
②肩の力を抜き1秒で息を一気に吐く
肩の力を抜くと同時に
「はっ」と1秒で一気に息を吐き切ります。
肩の力を抜きながら息を吐くと、息を吐きやすくなります。
③のステップで息を吸うための準備です。
呼吸は、水泳の息継ぎのように、いきなり吸うよりまず吐くことによって、反射作用で楽に息を吸うことができます。
③4秒息を吸う
胸を開いて、身体に入ってくる空気を胸いっぱい感じながら、大きく息を吸います。
鼻から吸うのがよいです。
④4秒息を吐く
下腹に力を入れて絞り出すイメージで、身体から出ていく空気を感じながら、大きく息を吐き切ります。
③④で重要なのが
空気の出入りを感じることです。
これによって、
身体の状態に意識が向かいます。
同時に、今置かれている状態から
いったん意識が切り離されます。
深く呼吸しやすくすると共に、呼吸をしながら自分の状態に意識を向けるのが、この方法のポイントです。
これを続けることで、2つの効果を得ることができました。
効果①平静な状態を取り戻す
効果の1つめは、身体をリラックスさせて心を落ち着かせ、平静な状態を取り戻しやすくなったことです。
これは、「副交感神経」への働きかけによるものです。
人の体には「交感神経」「副交感神経」という、血行や体温などをコントロールしている自律神経があります。
「交感神経」は、危険から身を守ったり何かを攻撃しようとするとき、身体をアクティブにするためのものです。心拍数が上がり、呼吸が浅く荒くなって、興奮状態になります。緊張やストレス、イライラしているときは、交感神経が優位な状態です。
「副交感神経」は逆に、身体を休息、リラックスさせるものです。心拍数が下がり、呼吸は穏やかになります。
呼吸をゆっくりすることによって、交感神経優位の状態を副交感神経優位にして、身体をリラックス状態にするのが、この方法です。身体がリラックスすれば、イライラや緊張がおさまり、心も落ち着いてきます。
私はもともと気が短い方ですが、この方法を取り入れることで、一瞬カッとなってもすぐに立て直すきっかけを作り出すことができるようになりました。
また、寝入りが悪くて眠りが浅い、という悩みがありましたが、夜寝る前に何度かこれをやることで改善されました。不安や緊張、ストレスによって交感神経が高ぶり、眠れなくなったり浅くなったりして睡眠が妨害されていたのが緩和されたようです。
効果②自分の状態に敏感になる
もう1つの効果は、自分の状態に敏感になったことです。
「ふと我に返る」感覚です。
身体の中を通る空気に意識を向けることで、
いま自分に何が起きてる?
いま自分は何を感じてる?
と自分の状態に意識が向かうようになり、怒りや緊張、不安などの感情に気づき、それに振り回されることなく、冷静に見つめるきっかけになったのです。
ファシリテーションをしていて、まるで火事場のような状況になっても、燃え盛る炎からいったん距離を置き、いま何をするのがよいか考えられるようになりました。
またトラブルが起こった際も、まずひと呼吸おいて、落ち着いて向き合えるようになりました。
常に平静に、とまではなかなかいきませんが、意識的な深呼吸によって自分の状態に敏感になり、冷静な思考や言動をとれる頻度は増えたと思います。
ココロの平穏を手に入れるきっかけに
感情をコントロールする必要性を感じている方は、簡単にできる10秒メンタルマネジメント法をぜひお試しください。
マインドフルネス瞑想の入口としてもおすすめです。
慣れてきたら、徐々に他の要素を取り入れて発展させていくとよいかと思います。
たとえば、10秒メンタルマネジメント法をやってからストレッチをすると、「呼吸+ストレッチ」となって、スムーズに瞑想に入ることができます。ヨガは瞑想の準備と言われていますから、ヨガのようなものになりますね。
また、10秒メンタルマネジメント法をやってから、思い浮かぶ感情や思考を書き出すのもよいでしょう。朝にやれば1日のプランニングに、夜なら1日の振り返りとなり、日々を充実したものにするきっかけにできます。
私の紹介した方法をヒントに、皆さんがココロの平穏を手に入れることができたらうれしい限りです。